アマゴ料理のレシピ集
1 ヤマメに比べて分布域の少ないアマゴ
アマゴはヤマメに非常に良く似ていますが、ヤマメに比べて生息域が狭く、アマゴの生息域ではない関東地方にお住いの方など、画像などは見た事があっても釣ったり食べたりしたことない方も多いのではないでしょうか?
また、アマゴの生息域である関西地方や四国にお住いの方でも、山間部の渓流などにしか生息していないため、実際に釣ったり食べたりしたことがある方はそう多くないかもしれません。
1.1 アマゴの生息域は他のトラウトが少ない
アマゴの主な生息域である関西地方や四国には、関東地方や東北地方、北海道ほどトラウトが多く生息していません。なので、基本的に関西地方や四国などで、トラウトフィッシングやトラウト類の料理と言えば、アマゴが主になります。
1.2 アマゴとサツキマスとの違いは?
アマゴとサツキマスは同種でありながら、大きく違った性質を持っているため、かつては別種として扱われていました。
まず、アマゴは海に向かうことなく、基本的に川の中だけで一生を終える魚です。
一方で、”サツキマス”はアマゴと違い川を下り、海で生活をして川に戻る、”サケ”のような性質をしています。孵化後海に降るため、降海型と呼ばれています。
なお、反対に海を降ることなく一生を河川の中で過ごすアマゴは、陸封型と呼ばれています。
1.3 アマゴとサツキマスはとても見分け辛い?
河川の上流部に釣れるアマゴには綺麗なパーマークがありますし、河口部や海で釣れるサツキマスは銀化しており、基本的にあまり見間違うことはありません。
しかし中には、河川の中流域で釣れるアマゴや、”ダム湖遡上”と呼ばれる、ダム湖から遡上するアマゴや、”サボリマス”と呼ばれる海に降らずに河川で過ごすサツキマスも生息しており、それらを見分けるのは非常に難しいといえます。
サツキマスも非常に美味しい魚なので、機会があればまた紹介したいと思います。
2 山間部の味、アマゴ料理
片道何時間もかけて釣りに来るほど釣り人に大人気のアマゴですが、食用魚としても人気の非常に高い魚です。
海が近い地域では出回ることも少なく、食べたことがない方も多いかもしれませんが、山間部にある温泉宿や料亭では、地魚として利用されることの多い魚でもあります。
2.1 串焼きのイメージが強い渓流魚
アマゴに限らずですが、渓流で釣れる魚と言えば、串に刺されて焼かれているイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。反対に他の料理が思い浮かばない方も少なくないかと思います。
しかし実際はそんなことはなく、様々なバリエーションの料理が楽しめる魚です。
2.2 和食に用いられる貴重な食材
海でとれるアジやイワシに比べて絶対数が少ないアマゴ、ゆえに貴重な食材として扱われてきました。特に天然物は高価な値段がつくことも多く、高級和食店などでもよく使用されています。
筆者もアマゴ釣りが好きで良く釣りに行くのですが、”食べる”ということも釣りに行く大きな目的の1つとなっています。
2.3 近年は養殖の甲斐があり、簡単に入手できるようになった
絶対数の少なさゆえに少し高価なことが多いアマゴ。しかし近年は養殖技術や流通経路などが非常によくなり、昔に比べて比較的安価にアマゴを入手することが可能です。
また山間部だけではなく、街のスーパーマーケットなどにも並ぶ事が増えました。
3 おすすめのアマゴ料理
海で釣れる魚に比べてあまり料理が思いつかないかもしれませんが、実はいろんな料理が楽しめる魚です。ここでは手軽にできる簡単なアマゴ料理を紹介したいと思います。
3.1 塩焼き
シンプルで簡単な調理法である塩焼きは、アマゴに最もよく合う調理法の1つです。味付けが塩のみとシンプルなだけに、鮮度の違いなどが出やすいために注意が必要です。
1. 綺麗に下処理をしたアマゴに、口から縫うように串を刺していきます。そのまま魚焼き機に入れるので、焦げてしまわない金串を用いるのが理想的です。
2. 串に刺し終えたら、アマゴにまんべんなく塩をうっていきます。主な可食部である体全体には少し薄めに、ヒレにはたっぷりと塩をつけましょう。このヒレにつける塩のことを化粧塩と言いますが、焼き上がりにヒレが真っ黒く焦げてしまうのを防いで、白い塩が残らせて見た目を良くするためのものなので、特に見た目にこだわらない方は不要です。
3. 魚焼き機で両面をしっかりと焼いて完成です。焼き時間などは各家庭の機材によって火力等が異なるのでなんとも言えませんが、やや弱めの火で焼き始めて、頻繁に様子を伺うようにすれば失敗がありません。
〜ワンポイントアドバイス〜
最初の串を指すのには、魚が不用意に反り返ってしまい、焼きムラが出てしまうのを防ぐための意味があります。串がない方は、下処理後、1日ほど冷蔵庫で寝かせて身を落ち着かせると串を刺さなくても身が反り返らずに済みます。どうしても釣りたてを焼かなければいけない場合は、画像のように表皮に少し切れ目を入れておくことで反り返りが少し抑えられます。
3.2 甘露煮
甘露煮は特にアマゴに合う料理として、料亭などで良く用いられている調理法です。調理法は簡単ですが、圧力鍋が必要です。
1. まずは下処理を済ませたアマゴを、両面にうっすらと焦げ目がつく程度に素焼きにします。
2. 圧力鍋に素焼きにしたアマゴを入れ、水、酒、みりん、醤油、砂糖、生姜を入れて煮立てます。
3. しっかりと煮立ったら、落し蓋を入れて圧力鍋の蓋をします。
4. 圧力がかかったら、弱火にして10分ほど煮て完成です。
〜ワンポイントアドバイス〜
下処理したアマゴですが、もし魚体にヌメリが強く残っているようなら、少し塩をつけて軽く擦ってヌメリを取っておきましょう。特に、焼き魚ではなくこのような煮魚に使う場合はヌメリは取っておいたほうが美味しく仕上がります。
3.4 アマゴの卵で作る いくら丼
いくら丼と言えばサケですが、実はアマゴでも卵を持った個体が釣れればいくら丼を作ることができます。アマゴの卵はいくらとは言いませんが、食感は非常に良く似ています。色は赤ではなく黄色で、いくらにはない高級感すら感じさせます。
1. まずはタレを作ります。酒、みりん、醤油を火にかけ、中火で2分ほど沸騰させてアルコールを飛ばしていきます。この時に味を見て、甘くしたい場合はみりんを多めに、辛くしたい場合は醤油を多めに入れましょう。最後に和風だしを入れて味を整え、冷ましておきます。参考程度にですが、8:2ぐらいの割合で、辛めが好評です。
2. 次に500ccの熱めのお湯に大さじ1杯ほどの塩を溶かし、その中でアマゴの筋子を指を使ってほぐしていきます。手で取れる大きな皮を取ってしまい、最後にざるでこします。この作業を新しいお湯を使って3回程行いましょう。
3. 容器にタレと綺麗になったアマゴの卵と入れ、冷蔵庫で数時間寝かせましょう。
4. 最後に温かいご飯に直接乗せ、お好みで大葉や小口ネギ、ミョウガなどを適量盛りつければ完成です。大葉は細かく刻んで入れるのがおすすめです。
〜ワンポイントアドバイス〜
アマゴの卵はいくらに比べて小さいので、その分味が染み込みやすく、タレの濃さや寝かせる時間などに注意しましょう。こまめにチェックすると失敗がありませんが、とりあえずタレは気持ち薄めで作るのがオススメです。
なお、アマゴが抱卵する晩秋から冬にかけては基本的に禁漁期間に当たるため、しっかりと卵が膨らんだ個体を釣るには管理釣り場や管理渓流等に出向く必要があります。
まとめ
あまりイメージが浮かばないアマゴの料理ですが、意外といろんな料理が楽しめる魚です。
こちらでは、いくら丼以外、三枚おろしの必要がない、小型のアマゴに適した料理を紹介しました。
もし30㎝オーバーなどの大型個体が釣れた場合は、ムニエルなど、定番の調理法も試してみてください。