夏の風物詩「鮎」ってどんな生態?

中田 北斗

鮎という魚を知っていますか?
観光地の露店などでは、よく鮎の塩焼きなんかが売られていますよね。

夏は「友釣り」がニュースでも、よく報道されています。
そんな鮎がどんな一生を過ごすのか気になりますよね。
今回は、鮎がどんな魚なのか、その生態について詳しく解説していきます。

丸岡ジョーさんによる写真ACからの写真

鮎(アユ)ってどんな魚?

鮎は、「キュウリウオ科アユ科」に属する魚です。
キュウリウオ科の魚は、キュウリのような香りがすることからキュウリウオと名前が付きました。

KJIYUさんによる写真ACからの写真

鮎も釣り上げてすぐには、キュウリやスイカのような独特の青臭さがします。これは、体内の不飽和脂肪酸が分解されたときの匂いです。食べた餌によって匂いが変わるため、育った河川によって違った匂いをしています

鮎は、種類によってことなりますが、最も一般的なオオアユは、河川の下流域で生まれ、海、清流域で生活をし、ふただび産卵のために下流域へと戻ってくる「両側回遊」という性質をもちます。

生まれてから1年でその一生を終えますが、その1/3は海で生活。
成魚の全長は、最大で30cmになりますが、河川によって最大体長は異なり、30cmに達する河川はそれほど多くありません。一般的なサイズの鮎は20cm前後です。

縄張り意識を持った鮎は、縄張りに入った他の鮎を体当たりして攻撃する性質があり、それを利用した釣りが「鮎の友釣り」です。
夏の清流では、多くの友釣り師が川で釣りをして楽しんでいるのが見られます。

鮎の種類

日本に生息する鮎には、3つの種類が存在します。

・オオアユ
・コアユ
・リュウキュウアユ

これらの種類について見てみましょう。

オオアユ

冒頭でもお伝えしたように、最も一般的な鮎がこの「オオアユ」です。
「オオアユ」は河川の下流域で生まれ、海へと降って、川を遡上し成長し、再び下流域へと戻り産卵する「両側回遊」の性質を持っています。

コアユ

琵琶湖固有の鮎が「コアユ」です。
「コアユ」は、海に降らず、琵琶湖を海の代わりとして利用しています。
「オオアユ」とは遺伝子的には異なっていますが、小さな違いのため正式な亜種とは認められていません。

リュウキュウアユ

「リュウキュウアユ」は、その名の通り沖縄に生息する鮎です。
「オオアユ」と比べて小型で、成体でも10~15cm程度
絶滅危惧種に分類されているため、奄美大島では産卵期や遡上期には河川工事を行わないなどの保護活動が実施されています。

沢山ある鮎の漢字

一般的なアユを示す漢字は「鮎」ですが、他にも沢山の漢字で記されます。

香魚…独特の瓜の香りがすることから
年魚…1年で一生を終えることから
銀口魚…泳いでいる際に口が銀色に光ることから
渓鰮…渓流に泳いでいるイワシのような姿から
細鱗魚…ウロコが細かいことから
国栖魚…奈良県吉野郡国栖地方の名産だったことから

このように様々な感じでの表記をされた経緯から、日本人にとって身近な存在であったことがわかります。

鮎の一生

ここでは、最も一般的な「オオアユ」の一生について紹介していきましょう。

鮎は、河川の下流域で産卵を行います。
季節が秋になり、水温が20℃以下になる頃に産卵行動を開始。
水温が16℃程度になるまで産卵行動を続けます。

産卵に適した場所は、泥などの堆積していない砂利質の川底。
そういった場所で、メス1匹に対して、複数のオスが一緒になって産卵放精を行います。
産み付けられた卵は、2週間程度で孵化。孵化直後はおおよそ6mm程度の透明な体をしています。

生まれた稚魚は、海、もしくは河口付近の汽水域に降り回遊して生活。
ケンミジンコのようなプランクトンを食べて、大きくなっていきます。
全長10mmほどになると、河口付近の浅瀬や砂浜に集まり、徐々に小型の水生昆虫や落下した陸生昆虫などを捕食し成長するのです。

体長が60mm程度になると、鱗が形成されます。
生まれてから冬を越し、翌年の春になると川を遡上。
このころの体長は、およそ10cmほどで、歯の形状は藻類などを食べるのに適した形状に変化。櫛のような形になり、岩についた苔を主食にするように食性が変化します。

多くの鮎は、群れを作りますが、体が大きな鮎は縄張りを持ち行動します。
縄張りを持った鮎は、胸に黄色い斑紋ができるのが特徴です。
縄張りを持った鮎は、他の鮎が縄張りに入ると、体当たりして追い出す行動をとります。

秋になり成熟した鮎は、婚姻色をまとい、黒っぽく変化します。
そして、下流域へと降り、産卵してその一生を終えるのです。

鮎の養殖と放流

鮎は、食料需要や遊漁としての需要が高く、盛んに養殖や放流が行われています。

河川に放流される小さな稚鮎は

・琵琶湖産
・海産
・人工産

などがあります。

かつては、琵琶湖産の「コアユ」が主体でしたが、現在は人工養殖にも成功し、その放流量も増加。
人工養殖は安定した供給が可能なことから、盛んになってきています。

鮎の釣り方

toyaさんによる写真ACからの写真

鮎の釣り方には、いくつかの種類があります。

・友釣り
・ドブ釣り
・エサ釣り

多くの河川では、鮎を釣るためには基本的に遊漁証が必要になるので、釣りに出かける際には漁協の案内をチェックしてください

それでは、順番に解説していきましょう。

友釣り

「友釣り」は、おとりの鮎にハリを付け、体当たりしてきた鮎を引っ掛けるという釣りです

大きく育った鮎は、苔の多く生えた餌場を独占しようと、縄張りを主張する個体がでてきます。
縄張りに入ってきた他の鮎がいると、縄張りの主は、体当たりをして縄張りから追い出そうとします。
この習性を利用した釣りが「友釣り」です。

友釣りは奥が深く、シーズンである夏には、多くの釣り人が友釣りのために川へ通います。

ドブ釣り

毛鉤を使った鮎釣りを「ドブ釣り」といいます。
「友釣り」で釣れる鮎は、通常昆虫などは食べませんが、深い流れのゆっくりとした淵を好む鮎は、昆虫なども食べると言われています。
この特徴を利用した釣りが「ドブ釣り」です。
ドブ釣りで使用する毛鉤は独特で、地域や人によって大きく異なります。

エサ釣り

あまりメジャーではありませんが、鮎は、エサでも釣ることが可能です。
オオアユを釣る手法としては、ウキを付けた仕掛けに、シラスのミンチをコマセに入れ、ハリにはイカやアジの切り身をつけて釣ります。
シーズン初めの6月やシーズン終盤の9月にこの釣りは有効です。

琵琶湖のコアユなどでは、シラスのミンチを使ったサビキ釣りなどのよく行われており、こちらはハリにエサをつけなくても簡単に釣れるので、初心者でも楽しめます。

まとめ

鮎は川の魚というイメージが強かったと思いますが、その一生の1/3を海で過ごします。
川を遡ったり、降ったりと忙しい鮎ですが、日本では古くから食べられてきた魚です。
観光地などで、鮎の塩焼きなどを見かけたら、今回紹介した鮎の生態を思い出してみてください。

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