サクラマスはどんな魚?その生態を解説!

中田 北斗

サクラマスという魚の名前を聞いたことはありますか?
サクラマス、サツキマスなど…名前を聞いたことはあるけど、いまいち違いについてよく知らないなんて人も多いのではないでしょうか。
違いについてよくわからない!という方のために、今回はサクラマスがどんな魚でどんな生態をしているのかについてお伝えしていきます。

サクラマスはどんな魚?

まずは、サクラマスがどんな魚なのかについて簡単に説明していきましょう。

サクラマスは、オホーツク海沿岸から朝鮮半島、そして、北海道などの北日本を中心に生息。
川で生まれた「ヤマメ」が海に降った「降海型」の個体を指します
ちなみに、「ヤマメ」の近縁種である「アマゴ」が海に降った個体は「サツキマス」と呼びます。

サクラマスの個体の大きさは30cm~70cmと大型になるため、多くの釣り人が憧れる魚です。
北海道では、大半の個体が「降海型」となりますが、餌を沢山取れる強い個体は川に残る傾向があります。

一方で、中部以南の河川で生まれたヤマメは、海へ降ることがあまりなく、「陸封型」として河川で一生を過ごします。
「サクラマス」という名前の由来は、産卵前の婚姻色がキレイな桜色をしているからです。
産卵前以外の時期は、銀色をしています。

サクラマスの婚姻色

SATO3さんによる写真ACからの写真

サクラマスの生態

サクラマスは、美しい魚で独特の魅力があります。
そんなサクラマスの生態について詳しく見ていきましょう。

サクラマスの一生

サクラマスは、河川の渓流域で春に生まれます。
生まれた稚魚は、水深の浅いところで過ごし、水生昆虫などを食べながら成長していきます。
降海型になる個体は、1~2年ほど河川で成長。この頃は、陸封型、降海型の区別は無いため、いずれも「ヤマメ」と呼ばれます
河川で過ごしている間は、小判形の青い斑紋(パーマークと呼ばれる)があり、その外観は非常に美しく、渓流の女王とも呼ばれます。

海へと降るのは3月から5月の間で、全長が10~15cmに成長したタイミングです。
海へと降る前に、パーマークが消えて体が銀色になります。
この銀色になる現象を「銀化(銀化)」や「スモルト」と呼びます。
これは、浸透圧の異なる淡水から塩水へと適応するためです。
その後、海へと降り1年ほど暮らします。

海で大きく育ったサクラマスは8月から10月の間に、生まれ育った川を遡り、産卵の準備をします。
日本でのサクラマスの産卵は、9月から10月頃。桜色になるのは、この産卵前の時期です。

川を遡上したサクラマスは、砂と小石が入り混じった砂礫質の川底に卵を産み付けます。
卵を産み付けるための産卵床は、メスが単独で準備し、尾びれを使ってくぼみを作ります。
そのため、サクラマスのメスは産卵前にはヒレがボロボロになってしまい、痛ましい姿をしています。

産卵床ができ、いよいよ産卵というときになると、オスがメスに寄り添います。
このとき、降海型のサクラマスのオスはもちろんですが、河川に残留していた陸封型のヤマメのオスも、何食わぬ顔で産卵に参加。
メスは、産卵床に卵を産み付けますが、その際にタイミングを合わせて、オスも射精し卵を受精させます。

サクラマスは産卵後、オスメス関係なく死んでしまいますが、川に残留していたヤマメは産卵しても生き続けます。
海に降ったかどうかで、一生のあり方が大きく変わるのが神秘的です。

サクラマスの食性

生まれてから、海に降るまでの間は、水生昆虫や陸生昆虫などを好んで食べます。
小さな頃から、その食欲は非常に旺盛です。
個体によっては、小魚を食べたり、カエルやサンショウウオのような両生類なども食べることがあります。

海に降った後は、昆虫中心の食性から魚食性へと変化します。
イカナゴやイワシといった小魚を食べるようになり、場合によってはプランクトンなども食べ、その体をどんどんと大型にしていくのです。

産卵前の遡上の時期は、サクラマスは餌を食べないと言われてきました。
しかし、遡上したサクラマスを釣り上げた際に、お腹を割くと小魚が入っていたり、水生昆虫のクロカワムシが入っていたりする場合もあるようです。
このことから、近年では遡上したサクラマスには、餌を食べる個体と食べない個体がいるというのが一般的になっています。

サクラマスを取り巻く環境

サクラマスの生態について詳しく解説してきましたが、ここからはサクラマスを取り巻く環境についてお伝えしていきます。

サクラマスの養殖と放流

サクラマスの陸封型である「ヤマメ」は養殖が盛んです。
全国の渓流では、遊漁目的としてヤマメは良く放流されており、全国の渓流釣りファンを魅了します。
また、釣り以外の目的では、降海したサクラマスの捕獲を目的とした養殖と放流も行われています。
一見、良いことばかりのように思える養殖と放流ですが、問題も存在します。
それは、遺伝子汚染です。

「ヤマメ」との近縁種である「アマゴ」。本来であれば、一つの河川には「ヤマメ」か「アマゴ」のどちらかしか存在しないはずです。
しかし、ヤマメの河川にアマゴを放流してしまったり、反対に、アマゴの河川にヤマメを放流してしまったという事例が多数あります。

両種は生態が似ているので、放流された個体はそのまま生き残り、ヤマメとアマゴは混成してしまいます。ヤマメとアマゴが交雑した個体が生息する河川も。
河川の特徴である魚が、人間の手によって汚染されるのは残念なことです。

サクラマスの生息環境の悪化

サクラマスは、その生息数をどんどんと減らしています。
その大きな要因としてあげられるのが河川環境の変化です。
現在まで、河川には数多くのダムや堰が増え、サクラマスの遡上や降海が妨げられています。
それだけでなく、生活排水や工業排水などによる水質汚染。そして、護岸工事による生息域の減少などでサクラマスの住める環境はどんどんと少なくなっています。

また、ヤマメ生息する渓流域では、森林の伐採によって土砂崩れが起きやすくなり、崩れた土砂によって砂礫の川底が埋まるなど、様々な問題が発生。
遡上や降海をする環境だけでなく産卵場所が少なくなってしまうなど、その問題は深刻です。

出典:Unsplash

サクラマスの釣り

大型になるサクラマスは、釣り人からは人気の魚種です。
サクラマスがどんな釣りで釣れるのかについて見ていきましょう。

河川での釣り

サクラマスが河川で釣れる時期は、必然的に産卵前です。
近年サクラマスは、生息環境の悪化であったり、乱獲などでその個体数を減らしています。
そのため、北海道では河川にいるサクラマスは、全面的に禁漁です。
福井県の九頭竜川、秋田県の米代川や雄物川、山形県赤川などのサクラマスの漁業権が設定されている河川で釣りができます

河川では、餌やルアーで釣るのが一般的。
エサ釣りでは、ミミズを餌にすることが多いようです。
ルアーの場合は、ミノーやスプーンなどの一般的なトラウトを狙うルアーを使うのが一般的。
いずれの方法でも、サクラマスの釣りは難しく、簡単に釣ることができないのが釣り人を刺激する理由の一つです。

海での釣り

海でもサクラマスは釣れます。
海での釣りの場合は、ルアー、ジギング、エサ釣りなどで釣れます。
海にいる頃のサクラマスは、イカナゴやイワシなどを大量に食べているので、ポイントさえ掴んでしまえば釣り上げることはそこまで難しくありません。
北海道では、岸から狙うショアゲームが盛んになっており、60cmほどの個体を狙えます。

出典:Unsplash

まとめ

サクラマスは、とても美しい魚です。
幼体であるヤマメは渓流の女王と呼ばれ、成魚となったサクラマスも産卵の時期には美しい桜色の魚体で人々を魅了します。
この美しい魚を後世に残していくためには、私達が環境に配慮し、少しでも美しい河川環境を整備することが大切です。

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