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ニジマスの料理5選【フライパンで作れる簡単レシピから本格派まで】

神前樹

ニジマスは世界の食卓でも人気の淡水魚。
今回は、ニジマスの料理について下ごしらえから調理法まで解説します。

定番のムニエルから、おもてなしメニューにも使えるあぶり寿司、ロシア料理のスープ「ウハ―」など、初心者でもできる簡単なレシピから本格派まで一挙にまとめました。

【もくじ】
1 世界の食卓で人気のニジマス
2 生食の場合は寄生虫に注意
 2.1 対策① 冷凍する
 2.2 対策② 魚を絞めてすぐに内臓を取り出す
3 おすすめニジマス料理
 3.1 ムニエル
 3.2 ホイル焼き
 3.3 カルパッチョ
 3.4 あぶり寿司
 3.5 ウハー
まとめ

 

 

1 世界の食卓で人気のニジマス

日本ではゲームフィッシュとして確立した立場を築いているニジマス。都市近郊に管理釣り場が多く、家族連れからベテランまで、様々な釣り方で楽しめることから、非常に人気のあるターゲットです。

本来は日本に生息していない、いわゆる”外来魚”のニジマスですが、もとはというと、1800年代後半に食用目的として持ち込まれました。

日本ではゲームフィッシュのイメージが強く、食べる魚として馴染みの薄い方も多いですが、欧州や北米などを中心に、食卓に並ぶことの多い定番の食用魚として定着しています。

イギリス・ロンドンのスーパーマーケットに並ぶニジマスの様子

「もともと外国の魚だし、大味で美味しくなさそう。」というイメージを持っているかたが多いニジマスですが、全くそんなことはなく、とても美味しい魚です。

今回はそんな釣って楽しい食べて美味しいニジマスの料理についてご紹介したいと思います。

 

 

 

2 生食の場合は寄生虫に注意


若干柔らかくて水っぽい身の質をしている個体が多いこと(特に止水域で育った個体は身に締まりがない個体が多いです)などから、あまり生食のイメージがない魚ですが、流速の早いエリアで育ったコンディションのいい個体は生で食べても非常に美味です。

ただ一点、生で食べる場合は寄生虫に注意する必要があります。基本的に他の淡水魚と同様に人体に影響をもたらす寄生虫がいる可能性が高い魚であることを認識しておきましょう。

なお、国内で養殖された個体は寄生虫の心配はほとんどなく、生で食べても問題ないそうです。

とはいえ放流区域によっては野生個体や半野生個体なども多く、特に上記画像のような傷の多い老魚は寄生虫がいることが多く、注意が必要です。

基本的に完全に火を通してしまえば全く問題ないのですが、ここでは生食する際の簡単にできる寄生虫対策をご紹介したいと思います。



2.1 対策その1 冷凍する

一度冷凍してしまえば基本的に寄生虫は全て死ぬので、生食する際の最も安全な方法といえます。

デメリットとしては、解凍後に身が水っぽくなる、味が落ちる等があげられますが、冷凍、解凍方法さえ誤らなければ、それほど大きく食味が落ちるわけではありません。

まず正しい冷凍方法ですが、魚が新鮮なうちに、水気をきっちりと取ってからラップでしっかりと包んで冷凍しましょう。

次に解凍方法ですが、冷凍庫の温度にもよりますが、料理をする前日に冷凍庫から冷蔵庫に移して時間をかけて解凍すればOKです。焦って常温で解凍してしまうと、身がビチャビチャになってしまうので注意が必要です。大部分が解凍できてきたら、ラップを外してドリップをとり、クッキングペーパーで軽く包んでバットにうつし、冷蔵庫に戻してさらに解凍しましょう。

少しだけ手間がかかりますが、これだけすれば冷凍しても味はさほど損なわれません。

 

 

 

2.2 対策その2 魚を絞めてすぐに内臓を取り出す


どうしても冷凍するのが嫌な方向けの方法です。

寄生虫の多くは魚の内臓に潜伏しており、主に宿主である魚の死後、我々の食べる身に移動します。なので魚を絞めてすぐ、死後間もない状態で腹を開いて内臓を取り出してしまえば、寄生虫が内臓から身に移動するのを防ぐことができます。

単純な方法ですが、かなり効果のある方法なので、生で食べるのに冷凍なんてもってのほか!という方におすすめの方法です。詳しくは下記参考記事をご覧ください。

【参考記事】
ニジマスのさばき方

 

 

 

3 おすすめニジマス料理


筆者は元調理師なのですが、欧州で調理師として働いていた際、欧州では安価で良く出回っているニジマスをよくまかないで食べていました。

こちらでは元調理師の筆者が思う、ニジマスによく合う料理を紹介したいと思います。

 

 

 

3.1 ムニエル

ニジマスに限らず、サケ、マス類の鉄板中の鉄板の調理法がムニエルです。

〜 ニジマスのムニエル 作り方 〜

1.皮付きのまま切り身にしたニジマス(大型でなければウロコも付いたままでOK)に塩とコショウを適量しっかりとなじませ、10分ほどおいてから、ドリップを拭き取って小麦粉を全体に薄くまぶします。

2.油を引いた熱したフライパンにバターを溶かし、ニジマスを皮面から中火で焼いていきます。

3.皮面がパリッと焼けたらひっくり返して反対側を焼き、中まで火が通れば完成です。

以上非常にシンプルですが、ニジマスの身質にもよくあっており、おすすめの調理法です。

また調理する前にバジルなど香草で香りをつけたり、バターだけではなく醤油も使うなど、自分好みに簡単にアレンジできる調理方とも言えます。



3.2 ホイル焼き

ホイル焼きもサケ、マス類に適した調理法です。こちらも簡単なので、覚えておいて損はありません。

〜 ニジマスのホイル焼き 作り方 〜

1.アルミホイルの上に野菜を敷いて、その上に塩とコショウを適量しっかりとなじませたニジマスの切り身をおきます(皮付きでも可ですが、皮をフライできないので、ウロコを取っておいたほうが良い)。野菜の種類はなんでもOKですが、定番はきのこ類で、ニジマスともとよく合います。

2.醤油を適量かけ、バターと輪切りにしたレモンを数枚のせてホイルをとじます。このときに空間ができるようにふんわりと閉じるようにしましょう。

3.200°のオーブンで15分ほど蒸し焼きにして完成です。

ホイル焼きは洗い物が少なく済むのが大きなメリットです。

ただオーブンの中に放り込んでしまうと忘れがちなので、スマートフォンなどのタイマー機能で対策をしましょう。

 

 

 

3.3 カルパッチョ

カルパッチョもニジマスによく合った調理法と言えます。カルパッチョに限らずですが、ニジマスを生で食べる場合は、魚の良し悪しで味が決まってしまうので、なるべくコンディションのいい魚を用いましょう。

〜 ニジマスのカルパッチョ 作り方 〜

1.皿の上にレタスやオニオンスライスなどの野菜を敷きます。薄くスライスしたルッコラなどもよく合います。

2.刺身状にスライスしたニジマスを野菜の上に盛り付け、レモン、バジルを上に盛り、最後にドレッシングをかければ完成です。

ドレッシングは洋風のものであればなんでもOKですが、筆者のおすすめは”キューピーイタリアンドレッシング”です。

 

 

 

 

3.4 あぶり寿司

もちろん普通の寿司や刺身でも美味しく食べられる魚なのですが、特に脂の乗った大型のニジマスにおすすめの調理法です。

〜 ニジマスのあぶり寿司 作り方 〜

1.シャリとニジマスの切り身を用意して寿司を握ります。このときに使用するニジマスの切り身は、腹に近く、脂の多い部位がオススメ。

2.切り身の上に軽く塩をふりかけ、軽く焦げ目がつく程度にバーナーであぶる。

簡単な一手間ですが、これだけで随分と上品な味になります。特に脂の多い魚が好きな人におすすめの調理法。

ちなみに、バーナーは炙り料理に使えるだけでなく、お菓子作りの仕上げにも使えますし、アウトドアでBBQを楽しむ時にも手軽に木炭に着火できるので持っていると便利です。

 

 

 

3.5 ウハー

最後に少し変わり種の料理です。今までのよくあるニジマス料理に飽きた!という方のために。

”ウハー”とはロシアのスープ料理ことです。ロシアと言えば同じスープ料理でも”ボルシチ”が有名ですが、こちらはボルシチと違い、マスやタラなどの魚を用います。

〜作り方〜

1.ニジマスの切り身に塩とコショウをなじませます。ムニエルなどと違ってこのあとスープの中に入ることになるので、気持ち強い目に味付けしてOKです。

2.一口大に切ったジャガイモ、人参、オニオンスライス、みじん切りにしたニンニクを一欠片、水を鍋に入れます。

3.味付けした魚の切り身と、デイル、ローリエなどの香草を入れて煮立たせます。

4.煮立ったら弱火に変え、塩とコショウで味を整え、レモンのスライスを入れて15~20分ほど煮込みます。

5.皿に盛り付けて、サワークリームを入れて完成です。

以上ロシアの郷土料理”ウハー”の作り方です。非常に優しい味のスープで、臭みの少ない新鮮なニジマスにとても合う調理法です。

なお、最後のサワークリームは無くてもOKな気がするのですが、ロシアの方々は絶対に使うので、ロシア気分を味わいたい方はぜひ用意してください。

ディルやローリエ、サワークリームはスーパーでも売っていますし、通販で取り寄せることもできます。

 

 

 

まとめ

以上、定番の料理から少し変わった調理法までをいくつか紹介してみました。

上記の調理法からもわかる通り、ニジマスは基本的に洋食によく合う身の質をしています。

もちろん寿司や刺身、シンプルな焼き魚など、和食でも美味しく食べることができる魚ですが、例えば寿司だと、握りだけでは無く、外国人にもよくうける”巻物”に適した身質とも言えます。

寄生虫もしっかりと対策すれば心配の必要がないので、ぜひご自身で釣ったニジマスをいろんな料理で楽しんでみてください。



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