川の生態系を考える
こんにちは。今日は新しい取り組みが始まりそうな予感がするため、そのご紹介です。
段戸川では「名古屋近郊でも、1日10匹釣れる川を作る!」ということを目標に、C&R区間や発眼卵放流などに取り組んでいます。
ただ「漁協で釣れる川を作る」というと、つい私達漁協側も釣り人側も「あの川は今年成魚放流○○匹、稚魚放流△△匹、発眼卵〇△粒」といった放流情報にばかり目がいきがちですよね。
しかし、それではダメで、生態系全体を考えないと最終的にはうまくいかないと思うんです。
昔の職漁師さん達の話では、こんなことを良く聞いたものです。
カジカのいる渓はイワナの型がいい
カジカが増えるとイワナが増える
海の漁師さんの話でも、こんな話を聞いたりします。
カツオの獲れる年には、よくグミがなる
この手の生態系全体を捉えたような話というのは枚挙に暇がありません。
要は、アマゴやイワナといった渓流魚を増やしたいが、それだけを増殖するだけではダメで、その餌となる小さな魚や虫が豊富にいて、それらを養う森が豊かでることが必須条件になります。
海の漁師さんは既に動いています。NPO法人 森は海の恋人の畠山さん等が有名ですが、海の漁師さんが森に植樹をしていますよね。海がやっているのに、山と海をつなぐ川側がやらないわけにはいきません!
組合長と話をしていると「昔はカジカやヨシノボリなんてウジャウジャいた」ということを聞きます。それが今では見つけることが困難です。それだけ全体の生態系としては貧弱になっているんですね。
山を見ると下草の生えていない暗いスギ・ヒノキ林がたくさんあります。まずこの大元の森を何とかしないと。このような森には動物はもちろん虫さえもおらず、大雨がふれば表土が川に流出します。森からの栄養分が供給されないため虫は増えず、それを捕食する小魚も少ない。そのような川にいくら渓流魚だけを増殖したところで・・・
どの漁協でも問題はわかっているのですが、内水面の漁協は専従ではないために資金的にも人員的にも厳しく、なかなか長期的に取り組む必要のある森の問題に手をつけれないというのが現状です。
今回は、何とか助成金を頂いて着手し、長期的な計画を作っていきたいです。仮に今回の助成金が通らなかったとしても、別の助成金を検討します。まずは段戸川流域の森を健全化です。
そして、渓流魚だけでなくカジカやヨシノボリ、ハヤ類もたくさんいる川を作っていきたいのです。
名倉川漁協 T