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段戸川C&R区間設立に向けた取り組み

名倉川漁協

名倉川漁協では「名古屋から高速なしで行ける距離に、1日10匹釣れる川を作る!」という目標で、魅力的なC&R区間を設立予定です。
今回はその内容をどーんとお伝えしていきます。

段戸川C&R区間の背景

私達名倉川漁協だけではないと思いますが、全国どの漁協でも組合員の高齢化、漁協収入の減少等に苦労していると思われます。

この厳しい状況を打破出来るように、昨年より新しい取り組みを増やしてきました。

・テンカラ講習会
・鮎のひっかけ体験会

等のイベントを実施し、認知の拡大を図ってきました。
そして、2017年度の締めくくりとして、段戸川C&R区間設立に向けた動きに着手しました。

漁協の業務で何より重要なのは「魚がたくさんいる良い川にする」ことです。
これが出来れば、子供から大人までたくさんの人が川に来てくれ、自ずと収入も増え、その収入をさらに良い川を作ることに投資出来るという良い循環が生まれます。

この良い循環を生み出すためのC&R区間設立を釣り人の皆様の協力も得つつ、着実に進めていきたいと考えております。

段戸川C&R区間の概要

まず、場所は段戸川下流部の渓流荘から小田木川の合流部より上流までを予定しています(今後変動する可能性あり)。

このエリアは現在釣り人があまり入っていないため、名倉川漁協管轄の河川に釣りに来られている方々への影響を最小限にすることが出来ます。

次に放流計画では、今回のC&R予定区間は成魚放流稚魚放流は行わず、全て発眼卵放流から育てたアマゴとする予定です。
時間はかかりますが、うまくいけば美しく逞しいアマゴばかりが釣れるエリアを作ることが出来ます。

ただし、2017年度からの発眼卵放流ですので、釣れるサイズになるのは2019年度シーズンからになります。

段戸川C&R区間 アマゴ放流方法の工夫

水産庁の研究で、特に稚魚放流や成魚放流が非常に効率が悪いことがわかっています。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/pdf/keiryuu1.pdf

それにも関わらず、なかなか稚魚放流や成魚放流から抜け出せないこともあり、今回のC&R区間設立では最適な放流方法の工夫もしていく予定です。

稚魚放流と成魚放流を外すと残る方法としては以下があります。
①発眼卵放流(直播き)
②発眼卵放流(BOX)
③親魚放流

多くの漁協ではあまり手間をかけることが出来ないため、発眼卵放流でも①の直播きが好まれているように思います。
ただ、今考えている中では②のBOX放流を主体に考えています。

これは以下が主な理由です。
・放流後の大雨などで流される危険性を出来る限り低減する
・最適な場所で稚魚まで育て、稚魚をしかるべき場所に再放流する

①直播きや③親魚放流は、人がコントロール出来る余地が少ないように思います。
BOX放流であれば、BOX埋没場所も出水の影響を受けない場所を選べますし、出水後にもBOX内の土砂を取り除くなど人の手でサポートすることが出来ますし、孵化状況の数字も把握出来ます。
更に稚魚が浮上し餌を探し出す時期までは安全なBOX内に入れておき、浮上時期に初めて外に出すという時期コントロールも出来ます。

手間がかかるのが難点かもしれませんが、それでも11月の放流後に年内3回もメンテに行けば、年明けに大雨などの災害はほぼ発生しません。

問題は、発眼卵から孵化して仔魚から稚魚になるかならないかまでの年内の期間だけです。

ここさえ上手くサポート出来れば、自然災害の影響を最小限にし、複数年の間でも安定して稚魚まで育てることが出来ると考えています(親魚と比較しても)。

放流方法の工夫は今年度から開始していますが、まだ仮説のため、今後毎年大学の研究者の方々の協力を得つつ、データを蓄積していきます。

このように考えて方法を検討していますが、当然初心者の方にも釣ってもらうためのエリアや持ち帰りが多く発生するエリアでは成魚放流も必要でしょうし、全てを完全に効率の良い方法にすることは現実的に出来ません。
このため適切なゾーニングは必要ですが、最適な方法を探ることは放流経費が漁協経営に直結するため非常に重要な課題です。

今後について

まだまだC&R区間設立も出来ていませんが、上手くアマゴが増えていけば、名古屋市から高速なしでも行ける非常に魅力的なエリアになります。

魚が増えると次は監視が問題になります。
監視は色々な案を検討していますが、釣り人の皆様にご協力頂く可能性もあります。
その際には、名古屋市から高速なしで行けて「一日に10匹釣れるエリアをつくる!」という目標に是非ご協力ください。

また、発眼卵放流は今後も続けていきますし、2年後からは産卵床造成も実施します。

自分達が放流した卵が孵化し、それが仔魚から稚魚へとなる姿を見るのは感動ものです。
もう最後にBOXから再放流する時なんて「頑張れよー、うまく最初の餌を見つけろよー」と親の気持ちになります(^^

興味のある方は2018年度から放流イベントに参加頂けますと幸いです。

長くなりましたが、このような段戸川C&R区間を暖かく見守ってください!
2019年シーズンからは是非遊びに来てください!

名倉川漁協 T