実は海でも生きられる!?ワカサギの生態
※アイキャッチ画像の出典:Pixabay
「氷に穴をあけて釣る魚」というイメージが先行するワカサギ。
そんなワカサギの生態を知っていますか?
実は、人間の放流によって、生態を変えられてしまった魚なんです。
そんなワカサギの生態や生育環境について詳しく紹介していきます。
ワカサギってどんな魚?
ワカサギは、キュウリウオ目キュウリウオ科の魚です。
キュウリウオ目には、アユやシシャモ、シラウオなどの魚が所属しています。
意識して見てみると、なんとなくアユとも見た目が似ているような気がしませんか?
体長は15cmほどと小ぶりで、細く繊細な体つきをしています。
背びれの後ろに小さなあぶらびれがあるのが特徴的です。
ワカサギは、日本の内湾や湖に生息する魚で、冷たい水を好みます。
天然のワカサギの分布は、太平洋側は千葉県よりも北に、日本海側では島根県より北に生息。
また、ワカサギはロシア、アメリカなどの海外にも生息しています。
ワカサギは、氷に穴をあけて釣るイメージが強いため、北海道などの寒い地域にしか生息していないと思っている方もいるかもしれません。
しかし、それは間違った認識です。
本来は冷水に適した種ですが、幅広い温度に適応できる魚です。
さらに、水温に対応できるだけでなく、富栄養化した水などにも強い耐性をもっています。
また、食用需要も大きいことから、積極的に放流がされ、生息域を拡大しています。
水質汚染にも強いため、ワカサギがいる湖だから水質が良いという認識を持っているのであれば、認識を改めたほうが良いかもしれません。
ワカサギは、群れを作って回遊する魚で、主に動物プランクトンを食べる肉食の魚です。
動物プランクトンなどのほかには、魚の卵や小さな稚魚も捕食します。
ワカサギは、小型の魚のため、ブラックバスやニジマスなどのフィッシュイーターからすれば、格好の餌となってしまいます。
両側回遊型と陸封型が存在する
湖に生息するイメージが強いワカサギですが、本来は海と湖を行き来する魚です。
ワカサギは、成長期に海へと降り、卵を産むために再び遡上する性質があります。
この海と淡水を行き来する性質は、「両側回遊」と呼ばれます。
両側回遊型のワカサギは、孵化した後に海へ降り、一定期間を汽水域で過ごします。
そして、産卵を行う際に、生まれた場所まで一気に遡り産卵するのです。
また、食料源として優秀なワカサギは、全国のあらゆる湖に放流されました。
移植された湖は、降海や遡上が困難なダム湖の場合も多く、海へ降ることができない場合がでてきました。
海へ降れないワカサギは、一生を淡水で生活します。
湖に生息する「陸封型」のワカサギのイメージは、全国各地の湖に移植されてから浸透したと考えられます。
ワカサギの一生
ワカサギは、地域によって異なりますが、1~4月の間に産卵をします。
卵の直径は1mmほどで、メスのワカサギは1,000から20,000粒もの卵を産みます。
生まれたワカサギは、ミジンコのような小さなプランクトンを食べながら成長し、降海型は海へと降るのです。
そして、産卵期になると淡水への順応を行わずに、一気に川を遡り産卵します。
産卵時には、水草や砂、小石の間に付着性の卵を産み、親のワカサギは死んでしまいます。
ただし、北海道などの寒冷な地域では2年魚や3年魚も見られるようです。
ワカサギとよく似た魚「チカ」
ワカサギと見た目がよく似た魚に、チカという魚がいます。
しかし、ワカサギとは違って、海に住むのを好む小魚です。
チカはワカサギよりも少しだけ大きくなり、最大で20cmほどに成長します。
ワカサギとの見分け方は難しいですが、背びれと腹びれの位置を見分けることで、見分けられます。
ワカサギは背びれよりも前に腹びれがあり、チカは背びれよりも後ろに腹びれがあります。
ワカサギの釣り方
ワカサギは、釣りを経験したことが無い方でも、簡単に釣り上げられるので人気の魚です。
群れで生活し、回遊する習性のあるワカサギは、タイミングさえ合えばほんの数時間の間に100匹以上釣れることも珍しくありません。
このような数釣りを体験するには、ワカサギの回遊している深さなどを探り当てるのが重要です。
また、ワカサギ釣りは、冬の釣りという認識が強いかもしれませんが、実は夏でも釣りができます。
ワカサギは、
- 一本釣り
- サビキ釣り
- 氷上の穴釣り
- ドーム船での釣り
などで釣ることができます。
湖によっては、遊漁証の購入が必要なところもあるので、漁業権の有無や禁漁期などを確認してから釣りをするようにしましょう。
釣り方について一つ一つ解説していきます。
サビキ釣り
ワカサギ釣りで最も一般的なのが、この「サビキ釣り」です。
複数のハリと仕掛けの末端にオモリをつけて、ワカサギがかかるのを待ちます。
餌には、アカムシやサシムシを使うのが一般的です。
ワカサギ釣り特有の短い竿を使う場合もあれば、延べ竿であったり、投げ竿で遠投して釣る方法もあります。
ワカサギ釣り用の短い竿を使用する場合は、電動のリールを使用するのが一般的です。
一本釣り
数を釣りたいワカサギ釣りでは、あまりメジャーではありませんが「一本釣り」を行う人も中にはいます。
サビキ釣りは沢山のハリがついていますが、一本釣りではハリは一本のみです。
餌にはサビキ釣り同様、アカムシやサシムシを使用します。
氷上の穴釣り
多くの方がイメージするワカサギ釣りが、この「氷上の穴釣り」です。
冬の間、凍った湖面にアイスドリルで穴をあけて、サビキの仕掛けを垂らす釣り。
釣法的には、サビキ釣りと同じですが、凍った湖面に穴をあけるのが特徴的です。
寒い湖面の上でじっとしておく必要があるので、忍耐が必要な釣りですが、ワカサギ釣りらしさを最も味わえる釣り方です。
ベテランのワカサギ釣り師であれば、テントを持参し、暖を取りながら釣りをする場合もあります。
ドーム船での釣り
寒くて厳しい環境での釣りは嫌だと言う方にオススメなのが、この「ドーム船での釣り」です。
ワカサギ釣り専用の船である「ドーム船」では、船底に穴があいていて、船の中から釣りができます。
そのため、寒い外に出ながら釣りをする必要がなく、温かい環境の中で釣りが可能です。
長野県の野尻湖、諏訪湖、山梨県の山中湖、河口湖でドーム船が運行されています。
ワカサギ釣りをしてみたいけど、なかなか家族が乗り気になってくれないという方は、ドーム船での釣りを提案してみてもいいかもしれません。
ワカサギの食べ方
ワカサギは、小さな魚で骨も柔らかいので、そのまま食べられます。
一般的なのは
- 天ぷら
- 唐揚げ
- マリネ
- 南蛮漬け
- 佃煮・甘露煮
などです。
新鮮で綺麗な水質で育ったワカサギであれば、刺し身でも食べられます。
まとめ
ワカサギの生態や生息域には意外な一面もあり、驚きがあります。
人間の事情により、様々な水質の湖へと放流された経緯をもつワカサギは、意外と気苦労が多いのかもしれませんね。
ワカサギを釣ったり、食べたりする機会があれば、ワカサギの生態について思い出してみてください。
つりチケでワカサギ釣りのできる漁協
ワカサギ釣りに必要な遊漁券ですが、ネットで販売している漁協もあります。
下記の漁協では、遊漁券WEB販売サービス「つりチケ」より、遊漁券をWEB上で購入できます。(遊漁期間は漁協ごとに異なりますので、各漁協ページよりご確認ください)
関東方面のワカサギ釣り
【岩手県】久慈川漁協
【宮城県】北上追波漁協、北上川漁協
【栃木県】栗山漁協、川俣湖漁協
【群馬県】両毛漁協(梅田湖)
関西方面のワカサギ釣り
【滋賀県】土山漁協(青土ダム)
【岡山県】新見漁協(千屋ダム)